J3リーグ誕生の傍らで〜JFL事務局長インタビュー第3回

そう言えば、2014シーズンの指揮を取る井幡監督に、古橋(達弥)と宇留野(純)の3人は社員ではなくプロ契約と同じですから、人件費に関しては間違いなく例年よも上がっているはずですね。

加藤僕らはいくらで契約してるとかはさ、チームから送られてくる選手登録契約などを見ているから知っているけど、はっきり言って彼らの契約は破格だとは思いますよ。それはJFLというより、J2と比較してもね(笑)。ただそう言った契約を結んだ裏にはさ、前にも話をしたけどHondaなりの危機感というものがあるんだろうね。やっぱりJ3というリーグがある今、自分たちの存在、そしてリーグ自体を埋没させてはいけないという使命感に近いものが部の中で産まれたことが、今回のプロ解禁に繋がったとは思うね。

で、JFLのカラーからすれば、やっぱり企業チームや1種登録のアマチュアクラブというところがメインになってくるけど、流通経済大学(以下流経大)のような大学生チームにもどんどん入って来てもらいたいし、ファジアーノ岡山ネクストのような『育成組織』みたいなチームとか、とにかくいろいろな形のチームが入って来て、このリーグ自体をおもしろくして欲しいし、チーム全体の目標、そして個人の目標を明確に掲げ、アマチュアで一番になるのを目指すのもよし、プロを目指す第一歩にしてもよし、指導者として上に行く足がかりにしてもよしと、とにかくこのリーグというものを、本当に意義あるものにしてくれればと思うんだよね。

確かに、ここ数年のJFLとはJリーグに昇格する以外のチームにとって、なかなか意義を見いだせないのかな? という感覚もありましたが、言い方は悪いですが『来る物は拒まず、その代わりに、来たからには意義を持って戦い、その上でリーグを有意義な場所としてほしい』という、加藤さんやJFLの方々の想いというのは理解できました。では、その想いの中で理想のイメージ、バランス像をちょっとお伺いしたいのですが、JFLの所属チームを考えるとHonda FCソニー仙台FC佐川印刷京都SP京都FC)、ホンダロックSCFCマルヤス岡崎といった企業チーム。横河武蔵野FCヴェルスパ大分栃木ウーヴァFCMIOびわこ滋賀のような、企業クラブからアマチュアクラブ形式へと移行していったクラブチーム勢。さらにはレノファ山口FCアスルクラロ沼津鹿児島ユナイテッドFCといったプロを目指すクラブ、そしてJの下部組織である岡山ネクストや、今はJFLではないですが復帰を明確に目指している流経大と言った『育成』に比重を置くクラブなど、多彩な形のチームがあることこそ、JFLのおもしろさだとは思いますが、これらのチーム構成というのは、どれぐらいの比率で構成されているのが好ましいと考えますか?

加藤あんまりバランスとかそういうのは考えた事はないかなあ…。今で言うとHonda、ソニー、ホンダロック、佐川印刷。これがだいたい企業チームですよね。あとマルヤスも。それで、ヴェルスパ大分ってのは、名前だけ聞けばクラブチームっぽいけど、実は大半がいまでも(HOYO)社員なんだよね。だから、ここは僕ら的にはクラブチームじゃなくて、中身はほぼ企業チームといっていいんじゃないかな? とも思っている。また、古くからJFLに参戦している武蔵野なんかは、かつてはほとんどが横河電機の社員だったけど、途中から景気の動向を受けて変化しはじめ、そんな中で震災の影響などもあり、最初とは随分様変わりはしてきているとは思うし、今では完全に横河電機さんが『応援してくれる』アマチュアクラブっぽくなっている。しかしそれでもスタッフや選手の1/3ぐらいは社員でもある。まあクラブには横河電機とは関係なく、フルタイム武蔵野のために働くスタッフを雇えるようにもなるなど、クラブとしての下地も出来てきたし、下部組織からトップチームに昇格する選手なんかも出てくるなど、かなり地域に根ざしたクラブチームに姿を変えて来ているとは感じますよね。でもやっぱりお金という大きな部分では、『横河さん』という大きな後ろ盾がないとまだまだやっていけないこともあり、クラブ名の『横河』とう看板を外すことは、まだしばらく無理な話でもあるよね。

横河武蔵野ユース時代からトップ登録され、大学生時代にトップチームデビューを果たした藤吉皆二郎。大学卒業後には新たなる進路を求め、武蔵野を去り、J3相模原でプレーを続ける。

横河武蔵野ユース時代からトップ登録され、大学生時代にトップチームデビューを果たした藤吉皆二郎。大学卒業後には新たなる進路を求め、武蔵野を去り、J3 SC相模原でプレーを続ける。

まあさっきも『武蔵野はグレーゾーンからの脱却を考えている』という話もしてたけどさ、僕も去年クラブに行ったときにいろいろ話は聞いていた。まあクラブが考えている構想や未来予想図、そしてお金に関する手配の方法に、地元との連携などについてとかなんだけどさ、その内容というか構想を聞く限りでは、恐らくJ3に行ったY.S.C.C.とかと比べたら武蔵野の方が『この先の可能性』という点では『上だなあ』とも感じたんだよね。でもね、あなたも良く知っていると思うけどさ、やっぱりあの人(武蔵野スタッフ)たちは慎重に慎重な論議を重ねて、本当に少しずつ歩みを進めようとしているよね。今回J3に行ったクラブの中には、とりあえずチャンスを逃すな! という感じで、勢いでJ3を選んだクラブもあったとは思うけど、ホント武蔵野っていうクラブは全体のバランスを崩す事が無い様に、周りの様子を見ながら歩みを進めているんだけど、それはそれで彼らのやり方は僕は正しいとも思っているんですよ。本当にJ3っていうリーグに入ったときにやれるのか? お金の面でいくら分配があって、実際のところ入るだけではなく、出て行く分はどれぐらいになるのか? とか、武蔵野と似たような感じだったY.S.C.C.福島ユナイテッドFCといったクラスのクラブがどんな感じで初年度を終えるか様子を伺っているだろうし、その中から自分たちが次に進む道っていうものを判断していくと思うんだよね。

まあ正直に言えば、J3というリーグに変わっても、観客動員という点ではほとんどJFL時代とは変わってはいないですよね。それどころか、琉球などはJFL時代よりも客足が伸び悩んでいますし…

加藤町田や長野、金沢と言ったJ2を目指すクラブだって、やっぱり3000人ぐらいだよね? それって正直、去年のうち(JFL)にいた状況と変わりはないよね(笑)。まあ鳥取もそうだけどさ、観客動員にノルマがあるから、なんらかの集客マッチをやるんだろうけどさ、リーグ全体を見渡せばJ3に入った(なった)からって実はそう大きな差はないし、それほど大きく変わってもいない。あとは実際に売り券と招待券のバランスがどのくらいになってるのか? とかだよね。辛いのはちょっと三桁のところが目立つことだよね。こんな数字が続いているとさ、やっぱりJリーグ的には辛いところがあるんじゃない?

そうですね。J2入りを目指しているチームはなんとか3000人は集めようと必死ですが、正直その4クラブ以外の平均観客動員はJFLの公式戦と全然変わらないと言われてしまっても仕方が無い状態だし、このままの状態が来年以降も続くようなら、言い方は悪いですが『だったら普通にJFLでも良かったんじゃないの?』って話も出てくる可能性はあるでしょうね。

加藤確かにそれは僕もそう感じるところはあるよ。ただ、その上(J2/J1)を目指している訳だから、当然J3に行かなきゃいけないし、そこのカテゴリーにいないといけない。だからさっきも言ったようにね、Jリーグ的には10クラブはないとリーグとしてはダメだと考えていたし、初年度に奇数クラブ数になることだけは避けたかった。だからさ、本当のことを言ってしまえばさ、Y.S.C.C.さんに関してはね、かなり協会側やJリーグ側がけしかけたんだよね(笑)。J3参入を募ったときに、リーグ側では『もしかしたら10にならない可能性もあるかな?』と危機感を持っていたんだよ。その中で皆さんも知っていると思うけどMIOびわこ滋賀や、栃木ウーヴァFCも参入に手を挙げた。しかしリーグ側、そしてサッカー協会ともども、この2クラブはまだ入れるには時期尚早だろうし、ここはどうみてもやっぱりあれだなあと…。で、リーグ側としては、昔からの歴史もあり、地域に根付いて少年サッカーから大人までの総合スポーツクラブ形式を取っているY.S.C.C.という存在なら、滅多なことはないだろうということで、リーグ側としてかなりプッシュして参入への形になっていったんだよね。

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