J3リーグ誕生の傍らで〜JFL事務局長インタビュー第3回

そうですね。そう考えると2002年のアイン食品はほんと、あともう少し! というところまで来たんですけどねえ… しばらくはそれ以降も頑張ってきましたが、ここ最近はちょっと下がって来てしまいましたね。

加藤そういうのを一つ一つ検証していくとさ、本当にいろいろあるよね。まあこれはまた別な話になっちゃうんだけど、ああいう地域リーグ決勝大会からJFLに上がって行くという部分では、本当にいろいろなドラマがあると思うんだけど、アイン食品は惜しかったよね。だってジヤトコはさ、次の年(2003シーズン)でリーグを辞めちゃったんだから。だったらさ、もう一年早く辞めますって言っていればアイン食品は上がれた訳だったんだから。そうするとさ、アイン食品がどういうチームになっていたかは分かんないし、たらればの話になってしまうけどさ、アイン食品のサッカー部は全然今とは違うものになっていたかも知れない。あそこもマルヤス工業同様に、社長さんがやる気を持っていたからね。ホンダの狭山(ホンダルミノッソ狭山FC)だって全社で連続優勝して、地域リーグ決勝大会の常連の強豪で、2005年なんかは僕ら的には優勝候補だと思っていた。でもあの時は結果的に4位で終わり、それ以降あれよあれよという間に弱体化してしまって、いつの間に活動を停止しちゃったよね。

全社優勝経験を持ち、かつてはJFLに最も近いチームと言われたルミノッソ狭山だが、2011年を最後に正式な登録チームとして解散となっている。

全社優勝経験を持ち、かつてはJFLに最も近いチームと言われたルミノッソ狭山だが、2011年を最後に正式な登録チームとして解散となっている。

辞めちゃったというか、あれは企業的な問題もありましたからね。

加藤ホンダ的にはあんまり…

そうですね。本田技研株式会社としては、トップリーグとなる球技活動に関しては、1社以外支援しないというルールがある。そしてルミノッソ狭山はあくまでも本田技研工業の狭山工場が持っているクラブチームの一つであり、Honda FCがJFLに参加している以上、狭山のチームにはこれ以上の支援は出来ないという誓約があったからですね。(※ホンダルミノッソ狭山FCはこれ以降、2009年までは関東リーグ1部の座を守っていたが、この年に8位で終わり2部降格となり、2010年シーズンも2部8位で終わってしまい埼玉県リーグに転落し、2011年の活動を持ってチームは解散となった)

加藤だから今のHonda FCにしてみると、狭山ってのは、昔のヤンマー(現セレッソ大阪)とヤンマークラブ(現ヤンマー尼崎)が一緒のリーグに入りますみたいなそんな雰囲気になっちゃうから。

選手は可哀想でしたけどね。

加藤まあ狭山の件は企業の方針っていうのもあるから、それはそれで僕らがどうこう言えないことだけどね、JFL的にはやっぱり企業っていうかさ、そういう会社のチームが入ってきてくれる(増えて行く)ということはいいことでもあるんだよね。で、なんでそれがいいのかっていうと、やっぱりちゃんとした会社でね、これまでサッカーを必死にやってきた子たちが受け入れられる環境が少しでも増えることに繋がるからなんだよね。まあ彼らにとってはほとんどが『プロになりたい』と思ってサッカーをやって来たと思うけどさ、みんながみんなプロになれる訳ではない。そんな現状があるんだから、レベルもそれなり高くて、自分の身分(生活面)もしっかり保証してくれる環境でサッカーをやらせてくれるなんていうのはホント、ありがたい場所だと思うんだ。今はJ3という、また新しい環境が出来て、さらに『プロ』っていう枠は増えたかも知れないけど、J3ってさ、選手になれたとしても、全部が全部お金の保証をしてくれる訳じゃないからね。まあその子たち(J3を選ぶ選手たち)も目標もってやっている訳だから、その選択が悪いとは思わないけど、JFLに所属する企業チームに入ってサッカーを続けることだって、サッカーをやる場として悪い訳じゃないと思うんだよね。高校生とか大学生とかの指導者なんかにしてみると、そういう真面目にやってた子がさ、プロになれなかったとしてもさ、仕事もできる、なおかつサッカーもやらしてくれる会社にちゃんと就職していくっていうのは非常にいい流れだと思うんだよね。こういうのがさ、もっともっと増えるとサッカーやる子ももっともっと増えると思うんだけどどうだろうか?

そういう『受け皿』が広がって行くことは喜ばしいことですし、人材を活かすこと、さらにはプロではなく『その道(JFL)』を目指す子も増えて行くと思うんですよね。先ほどもありましたが、ほとんどの選手が高校や大学を卒業してもプロに行く訳ではない。逆に、プロに行く方が少ないじゃないですか? だからこそ、これからはJFLというリーグが発展して欲しいし、Honda FCソニー仙台FC佐川印刷京都(現SP京都FC)やFCマルヤス岡崎のようなチームが出てくることを期待したいのですが、なかなか地域リーグの下を見渡すと、これに続いて来るようなチームはほとんどなさそうですが…

加藤まあHonda FCに関してはさ、これまでの歴史もあるから簡単にやめるなんてことは無いと信じて入るんだけどね。1970年から続く歴史もあり、代表選手も外国人選手もいたチームで、JSL(日本サッカーリーグ)トップクラスの力もあったクラブの中で唯一プロに行かなかった昔からのチームだからね。でも普通に考えるとさ、なんで本田技研はそこまでしてサッカーをしているんだろう? と思うよね。自前のグラウンド(試合会場)まで持っているチームなんて、Jクラブの中だってそうザラに無いし、育成組織まであるなんて、やりくりに悲鳴を上げているJ2クラブからすれば、羨ましくてたまらない環境だと思うよ。まあ、一時は(プロへ)行こうとした時期もあったけど、結局は機運が盛り上がらず今の形になっているけどね。で、話は逸れちゃったけど、こちらとしては、本田技研さんのような会社があり、Honda FCというすばらしいクラブがあるってことは喜ばしいことなんだけど、会社(というか従業員)からすると、チームがあることにどれぐらいの意義があるのかな? という部分は正直、僕も考えちゃうことはあるんだよね。多分さ、同じ部署とかで働いている選手とかがいれば『じゃあ見に行こうか』という感じてくれる社員の人はいるだろうけど、全体的に見た時の比率はとても低いと思う。また、一般の人の中でもHondaのサッカーが好きだから浜松まで行くっていう人も根強くいるけど、それでも成績の今シーズン(2014年シーズン)だって、良くて1000人ぐらいだし、普通のときで600〜700人ぐらい。で、本田技研は人件費を含めたサッカー部の活動費やグラウンドの維持費、下部組織の運営費用などを合わせた『サッカーへの予算』という部分ではおよそ4〜5億円は使っているんだよね。

プロの世界含めても日本では珍しい「自前」のスタジアムを持つHonda FC。スタジアムメインスタンド裏には、このクラブの歴史を垣間みることが出来る。

プロの世界含めても日本では珍しい「自前」のスタジアムを持つHonda FC。スタジアムメインスタンド裏には、このクラブの歴史を垣間みることが出来る。

トップチームだけの人件費で、最盛期は4億円程度と言われていましたが、最近では随分減っているとは聞いていました。しかし、それでも総額にするとそれなりのお金は使われているんですね?

加藤いや、人件費もそうだけど、やっぱり全部合わせたらそれぐらいかかるもんなんだよね。言っていいかどうか分かんないけど、だいたいそのくらいの予算でやってるの。だってグラウンドだって自前だし、今年なんて芝を全部張り替えしてるしね。

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