J3リーグ誕生の傍らで〜JFL事務局長インタビュー第2回

そうですね。確かにこの先に上を目指すチームはだいぶ絞られて来ているとは思いますし、それらがみんなJ3まで到達することを仮定すれば、だいたいJ3のクラブ数というものが予想出来てきますが、それがいつ揃うのか? というところは予想しづらいところでもありますね。また、J3に行く前にJFLに上がることも難しい。だからこそ余計わかりにくいと思いますが、そこで加藤さんもう一つ伺いたいこととして、グルージャ盛岡のようにJFLを飛び越えてJ3に行ってしまうような事が、今後も起こるということは考えられますか?

加藤(飛び級での)「上がり方」というものが、正直どういうタイミングで出してくるのかは、僕にもわかんないよね(笑) 基本的に今回(グルージャ盛岡)のようなケースは、もうないことにはなっているけど、ご存知の通り、上にはいろんな考えがあるし、その場でどう変わるかはこっちでもわからないんだよ。だから、決して「ない」と言いきることも出来ないし、まずは今シーズン、初めてのJ3リーグが終わってから、実態が見えて来た時点でいろいろ総括し、今後の展開や方針が決まって来ると思うんだよね。

まず今年一年終わるよね? 終わったときに各クラブの経営状態がどんな感じだったのか? これがまず、数字的にどうなのかってのが開示されることにより、「意外にみんな良いじゃない」とか「いやあ、やっぱり厳しいわ」とか現実が見えてくる。仮にだけどさ、そんなことはないとは思うけど「意外にみんな良いじゃないの!」ってことになれば、もしかしたら、『じゃあもっと上げてみる?』と言う感じになれば、そういう措置っていうのもやりやすくなるかも知れないよね。

だけどこれがさ、元々マイナス(これまでの債務超過)を引きずっているチームだってあるんだから、そう簡単にプラスで終われるところは少ないだろうし、たぶん限りなくゼロに近いか、マイナスで終わるところの方が多いかも知れない。まあ、そういう中で「やっぱりこれって結構キツいね」っていう話になったとき、そう安易にJ3の仲間に引き込めなくなるでしょ? 実際に出ていた話だけど、J3リーグってのは、元々J3を作ることそのものをJクラブの中(理事会)では、『そこまでプロを作んなきゃ(広げなきゃ)いけないの?』なんて意見もあったわけですよ。

要はJリーグってさあ、(これまでは)護送船団方式だった訳じゃないですか? みんなをJリーグという同じ舟に乗っけて、そこでスポンサーを集めて、そこにみんなで住んで、そして上手く分配金を渡してっていう。でもさ、それはチームが増えれば増えるほど、その分配金ってのが少なくなって行くし、さらにそこでJ3誕生でしょ? そうなると、さっきの話もそうだけど、『そこまでしてプロを薄める(拡大する)のはどうなのか』っていうことを言い出す人もいた。だからこのリーグを作る前段階は、プロ予備軍リーグとして、Jリーグの中でもやることがいいのか? とか、確かにいろんな意見があったわけですよ、その時期にはね。

『将来構想委員会』ってのがその話をする組織であり、それに僕もいたんだけど、Jリーグからも何人か来ていたし、日本サッカー協会やJクラブの人、さらには外部の方もいたよね。本当に今話したようなことを、2年ぐらい前にすでにやっていたんだけど、まあどちらかというと、前のチェアマンだった大東さんは「(今すぐに)やるほうがいいのか?」っていう感じで慎重な意見を出していたけど、中にはやっぱりやりたい、やろう! という人もそれなりにいた。まあそんな感じだった人からすればさ、「JFLにはちょっと待たして(期待して)おけねえな」っていうのがあったかも知れない。

佐野監督

V・ファーレン長崎を優勝とJ2昇格に導いた佐野達監督(現:サウルコス福井監督兼ゼネラルマネージャー)

本来はJ3ではなく、JFLが発展してその中で力がついて行けば一番良かったのかも知れないけど、JFLの組織の中ではプロを目指さない企業チームもあるし、学生のチームとかいろんなチームがあるからこそ、ここをプロ予備軍として行くのは難しいぞ、という感じになった。また力関係からしても、最終的には長野(AC長野パルセイロ)や町田(FC町田ゼルビア)とかの方が上になったけれども、ある時期までホンダ(Honda FC)をはじめとした、以前からリーグにいたチームの方が力は上だったし、選手の生活面での保証や練習環境とかも含めて、JFLのクラブの方が優れているという部分もあった。全部のクラブがそうだという訳ではないけれども、プロだけではなく、アマチュアにはアマチュアのやり方で「サッカーをやる」という環境を作って来た実績だってある訳だし、それぞれのクラブや企業によって考え方も違うんだから、だったら別々にしてそういうの(リーグ)を作った方がいいんじゃないかって方向に話がまとまり始めて来たんだ。

そのときに、大東さんもその中の一人だったけど、どうやったらあんまり賛成していない人たちも納得させられるか?という話に段々進んで来たんだけど、そこで「推進派」の人たちは『J1、J2のところには迷惑はかけません』と言い出したんだよね。要するにお金的な面で、皆さんには迷惑はかけませんと言う話にしたのよ。『J3はJ3独自のお金の集め方をして、そこのところでやりますから、J3ができたからといっても今まであるJリーグという組織には迷惑がかからないようなシステムを作りますので、リーグ発足に向けてご賛同ください』っていう話に。で、最初はどうかな? と考えていた人たちも「だったらしゃあないな」って話になったわけ。でも、本当にJ3だけでお金を集められるかって現実問題はまだクリア出来ていなかったんだけど、そこでリーグ側が収入源の一つとしてtotoのBIGに突破口を見いだした。これまでのtotoよりも当選金額の大きいBIGは、J3リーグの試合も対象に含めるような形にしていけば、これまでよりも多く回数をこなすことが可能となってくる。また、これまではJ1、J2同時開催時にしか出来なかったことで回数が限られていたBIGがJ3と組み合わせることによって、実施する機会も増やすことができる。今まで実際に何回BIGをやったのか詳しい回数までは分からないけど、例えば年間40回やってたのが50回できるようになるかも知れないじゃない? で、10回多く出来るようになれば、その10回分 Jリーグの収入が増えるようになる訳だから、その分を少しだけJ3のとこへの配分してもらえればいいという訳ですよ。まあこれは一つね、もくろみとして最初からあったわけですよ。ただ問題は回数増やしたからといって、かけ算よろしくで、倍々となっていくかどうかは、こっちもなんとも言えないところでもあったんだよね。一回の売り上げが10億の時もあるだろうし、そうも行かない場合もある。単純に10億×40回というものが、10億×50回となるとは限らない。でもさ、まあ可能性はあると思うんだよね。また、捕らぬ狸じゃないけれども、(数字が)まったくの「想定外」となる可能性も低いから、最初から少なく見積もっておけば、大きな問題にはならないというのもあったし、まあそっから、いくらかは(分配金を)持って来れるという目処も立ったわけですよ。でもって、最終的には僕も全部の事実を知っている訳ではないけれども、電通さんが入って来るわけで、そこで『いっちょ頑張んなきゃいけないな』ってのはあったらしい(笑)

まあ、いつもの「頼むよ電通さん!」みたいなそんな話でさ。まあ分かんないけど、これはあんまり言っちゃいけないかも? なんだけど、J3が始まってみたら「明治生命J3リーグ」なんて冠がついたけど、あれはおそらく明治安田生命さん自体としては、「J3をサポートしよう」という形ではなかったと思うんだよね。まあさ、J3であろうとJ1であろうとJリーグという「大きな枠の中」の一つであることは変わらないんだから、明治生命さんからすれば「Jリーグのスポンサーになった」という事実は変わらない。で、Jリーグのスポンサーになるために、当然それ相応のお金が動いていることになるけど、その中のさじ加減で「じゃあこれくらいはこっちに分けてよ」てな話で収まって、あの冠になったんだと思っているんだけど、実際にそういう感じな話で、J3に入ったチームに対しては、2千万〜3千万ぐらいは配分しますよ! っていう話は前から出ていたから、多分そのぐらいの配分に落ち着いたんじゃないかな? まあ実際はどうか分かんないけど、そのぐらいは分配しているはずなんだけど、確かJ2の当初の分配金は1億ぐらいだったと思うけど、今は減ってしまったのかな? そんなことから考えても、J3の2~3千万って言うのも妥当かもしれないけど、そういう配分があるか反面で、J3に入れば確実に出ていくものも増えるから、その辺の収支バランスをしっかりやらないとJ2クラブ以上に難しくなるよね。で、そういうのがあるから、さっき言ったようにまず一年間やってみて、今年シーズンの結果(収支)がどうなるかってことが、今後の根っこになってくると思うんだよね。

で、もう一つは試合数っていうのの問題もあると思うんだよね。J3は最初、10チームで始めるというのが最有力案だった。まあU22選抜チームが入るか? なんて、最初は予想もしていなかったからね。それとJFLからJ3転入を希望しそうだと予想されていたのが、10チームぐらいじゃないか? という話もあり、じゃあ10で進めるかという流れになっていたんだけれども、栃木ウーヴァFCMIOびわこ滋賀の2チームにはライセンスが発行されなかったこともあり、JFLからの転出希望はJ2に昇格したカマタマーレ讃岐を含めた10チームだけとなったから、リーグは10で進めることを考えていた。で、10チームでやるとすれば1クールが9試合になるから、たぶん4巡して36節制になったと思うんだけど、それってサポーターやお客さんが考えている以上に「やる側」としては負担も大きいし大変なことなんだよね。じゃあやる側からしてみたらさ、年間で一番ちょうど良いと考えるのは32試合とかそれぐらいの数字になって来るんだよ。当然ね、やる試合数が増えれば収入っていう部分も見込めるけど、正直JFLやJ3ではそれはあまり見込めないから、出て行くものの方が大きくなってしまう。で、J3側の方の試合数の話に戻すけど、U22選抜が入った事により11チームになってしまったから、初年度はなんとか偶数チーム数で揃えて「お休み」を出したくないリーグ側が、あともう1チーム必要としたからこそ、特例として地域リーグからの飛び級を認めることになった。だからこそ、(J3への)飛び級というものに関しては、ここから先は原則的にもうないと僕は思っているんだけど、そればっかりは一寸先は闇なんでどうなるかはわかんないんだよね…(笑)

で、また試合数の話に戻るけど、結果的に初年度は33試合(1クール11試合×3)になったけど、それはそれで一番ちょうど良かったと思うけど、2015年からは上がったチーム数の分だけ増えることになるけど、チーム数が14になると1チームあたりの年間試合数が39試合になってくるから、これはもう大変になってくるよね。

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