J3リーグ誕生の傍らで〜JFL事務局長インタビュー第1回

J3にはレベル的に負けたくないって話もありましたが、やっぱり一番お聞きしたかったのが今の日本のサッカー界の序列についてですが、「J1、J2があって、J3とJFLは並列です」と、建前では言っています。しかし、実際にJFLを取り仕切る加藤さんからみ見て、J3とJFLの立ち位置をどうお考えになっていますか?

サッカーミラミッド
加藤まあ僕らが(協会やJリーグ側に)、「そういう感じに表現させてよ!」って言ったのもあるからね(笑)。こっちから。とりあえず(サッカー界の)ピラミッド一つじゃない?それこそ川淵(三郎)さんなんかは、しっかりとした三角形がやっぱり一番いいと言うわけ。やっぱりJ1、J2、J3、そしてその下にJFLがある……。まあ確かにそうですよ。でもね、そういうピラミッド構造にするとしたら、当然上の方が強いっていうことになるじゃないですか?でもね、現時点でJFLの下位チームはやっぱりJ3に行ったクラブとの差はあるけど、ホンダやソニー仙台、武蔵野、印刷(佐川印刷京都)なんかはさ、J3のクラブやっても互角ぐらいじゃない?まあ、あと何年かしたら状況は変わってくるかも知れないけど、現時点ではそう大きな差もないと僕は思っているし。それともう一つ、JFLでやろうってチームの気持ちをあんまり逆撫でしたくないなっていう思いもあってね(笑)。

1年以上前に、最終的にJ3をどうすんだって話のときの話だけど。サッカー協会としては、(プロリーグの扱いであるJリーグを拡大していくことよって)アマチュアの企業チームが一気に撤退しちゃうようになることは、サッカー界にはあんまりよろしくないことだよねっていう話は当然出ていたんですよ。プロはプロで今Jリーグはどんどん増えているかもしれないけど、やっぱりその下に5000なんて数じゃ済まないほどアマチュアチームが登録してるわけだから。

そういうアマチュアのトップのところで、長年頑張ってくれている企業チームなんかわさ、自分ところ(会社)でお金持ちだしてさ、選手も雇ってくれている訳ですよ。みんながみんなプロ選手になれる訳ではないし、プロになれない子の方が多い中で、そんな子たちを拾ってあげて日本のサッカー界の構造を守っている企業チームの存在は大事にしなければいけない。また、高いレベルの中でサッカーをやらせてあげられるし、プロではないものの、生活面での保証もあるこれらのチームが減っていってしまうという状況は、サッカー界にとってやっぱりいろんな影響が出てくるじゃないですか?で、協会の人たちからすれば『そこんところ(アマチュアサッカーの衰退や、企業チームが撤退してしまうなんてことが)は絶対にないだろうなって?』って、会長とか副会長あたりから言われていたわけ。で、そんなことはないだろうな?って言われても、そうなったら会社がどう判断するかなんてのは、これ僕にも分かりませんよと(笑)。

会社によって、誰が決めているのか分かりませんが、3年前に佐川(SAGAWA SHIGA FC)がリーグ撤退を決めた(辞めた)こともありましたが、それだって、いつ誰がどのタイミングで最終的に決めたのかなんて、こっちでそれはもう分かんないことなんで。だから、「お前とにかくね、『今こういう話が進んでんだけど、こうなったときに会社のチームとしてどうなってきますか、アマチュアのトップリーグとして維持してやってくんで、そこで引き続き活動をされますか?』ってちゃんと確認とれ」って言われたんですよ。で、確認とれって言うから、ぐるっとチームの関係の方々のところに回りましたが、チームによってはチームの最高責任者だからと言っても、会社から突然言われるケースもあると思うんだよね。むしろ多分ね、なんの前ぶれも無く、いきなり突然言われるみたいな。企業チームが過去に廃部になっていくのなんか見てるとさ。サッカーだけじゃないですよ。感触的には「だからうちは辞めちゃいます」みたいなのは無かったんで。とはいうものの、本当にそういう判断を下すかどうかっていうのは、僕らだけじゃなく、そのチームの人間だってわからないものなんだよね。

で、まあ今回のリーグ改変にあたって、「続けてくれますよね?」という確認と同時に、リーグの構造を説明するためにピラミッドの絵を持ってったんですね。そのときに作ったのが、今年のJFLのプログラムにもある「日本サッカー協会第1種のリーグ構成」にある、二つのピラミッドだったんですね。せめてそうプライドをさ。そこに一つのピラミッドのになって、J3の下にJFLがありますなんて絵を持ってっちゃうとさ。企業側が「ああ~またか」っていうさ(笑)。ホンダやソニーに言わせれば2度目になるけど、最初はJ2が出来たときだよね。まあその時には、この2チーム以外はいなかったけど。

武蔵野がJFLに入って来た年(1999年)ですね。

加藤あのころのJ2の10チームって、今ほとんどJ1クラブになってるチームばっかじゃない。だから、そこんところはホンダなんかでもある程度割り切れていると思うんだけど、でも今回のJ3っていうのはホンダなんかにしてみると、自分たちよりも力が下のチームが何チームかある訳ですよ。確かにホンダよりも上のレベルもいるけれど、そうではないチームもあるっていうことは、リーグ全体の競技レベルで考えたらみんなで頑張れば、そんなに変わらないぐらいの競技レベルだし、そのなかでやることにより、自分たちのレベルもそんなに下げないというか、むしろ自分たちはもっと上げてこうっていう意識があれば大丈夫だという思いがありました。

そんなのもあって、僕的にはそのピラミッドを二つに描かせてくださいという話を協会にもしました。うちはあくまでも今までどおりに、日本サッカーはトップにプロがいて、その下にアマチュアがあって、地域があって、都道府県があってという考え方は変わらないのだけれども、まあJ3ができるってことでね。J3ってのは基本的にプロの予備軍リーグって考え方で当初作るって話だったんで、そこは変わってないと思うけども、アマチュアの組織っていうのはアマチュアの組織で一つのピラミッドがあって、そのトップに日本フットボールリーグがあると。その下に地域リーグがあって、その下に都道府県リーグがあると。まあ、こういうようなJ3に負けない競技レベルを維持できるようにしないとね。だからまあ図式的にはとんがったところ(アマチュア側のピラミッド)はJ3と同じような位置に持って来てっていう形でやりますと。まあ、そういう強い気持ちを持ってうちもやりますよと。そういうことでね、そんなピラミッドにしたんで。まあこれからそれがどんな変化してくのか分からないけどさ。まあ力量がどうのこうのっていうのは、なかなか計りにくいからね。サッカー好きの皆さんが、J3もJFLも観に行くような方がどう感じるかだけど、実際に本当にどうなのかっていうのは分からないけど、このことをもっと違う言い方をすれば「J2の下の方のこのチームと、J3の上の方のチームでは、どっちが強いんだろう」なんて話と同じだし、それってなんとも判断をつけるのは難しいことだし、なかなか分かんないことだよね(笑)

第2回に続く

(了)

(著書プロフィール)
市川伸一(いちかわ・しんいち)
1971年、埼玉県生まれ。NHK番組制作スタッフ、グラフィックデザイナー、雑誌・web編集者を経て、現在はフリーライターとして活動。ザスパ草津チャレンジャーズを中心に、JFL、地域リーグなどマイナーサッカー界中心に取材を続ける。これまでの主な寄稿先は『スポーツナビ』『J’sサッカー』『エルゴラッソ』など。この他にも、グルメ情報サイトや中古車情報誌など、他分野においても活躍中。

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